「SNS選挙」規制の波:自民党の収益停止法改正案の真意とは?
1. 自民党が検討する「SNS選挙」対策とは
◇ 改正の背景
- 産経新聞の独自取材 によると、自民党は来年の都議選・山陰選をにらんで、「SNS上で発信される選挙関連動画からの収益化を停止できるようにする法改正」を検討している。
- 背景には、政治家がSNSを積極的に活用するケースが増えたことで、既存のテレビメディアに依存しない「SNS選挙」の影響力が急拡大していることがある。
◇ なぜ収益停止が議論に?
- SNS上での選挙関連動画が「誹謗中傷や偽情報」を拡散し、選挙結果に影響を及ぼす恐れがあると指摘されている。
- 「真偽不明の情報発信を収益化させない」ことで、SNS選挙の影響力を抑制しようという狙いもあるとみられる。
- 自民党の選挙制度調査会はこうした問題を検討する場を設けており、ほかの野党各党と連携してSNS選挙の課題を議論する見込み。
2. 収益停止の問題点
◇ メディアとの整合性
- 「SNSだけ収益停止にするのは不公平ではないか?」という声がある。
- もし本気で「選挙報道からの収益」を問題にするなら、テレビや新聞など民放各社の広告収入も同様に停止しなければ整合性が取れないはず。
- つまり、SNSを狙い撃ちすることは「言論の自由を脅かす」危険性が指摘されている。
◇ 切り抜き文化の衰退
- 政治系の動画が広まる大きな要因は「切り抜き動画」の存在。
- 収益が期待できなくなると、切り抜き動画の投稿者が激減する見込みが高い。
- その結果、本来なら多様な政治的意見に触れる機会が減り、有権者の選択肢が狭まる可能性がある。
◇ 資金力のある人が有利に?
- 収益がなくても支援者を“雇って”情報発信できる政治家や団体は有利な一方、個人の切り抜き制作者は撤退を余儀なくされる。
- 結果的に「SNS選挙は金持ちが制する」構図になりかねないという指摘がある。
3. メディア各社の報道姿勢とSNS
◇ 佐藤沙織さんの千代田区長選出馬報道
- 東京新聞は当初、佐藤沙織さんの出馬表明を記事にしていなかったが、本人への直接取材後、12月29日付の長官で報道を掲載。
- 一方、朝日新聞は現時点で報道していないという。
- 毎日新聞は記事に佐藤さんの名前を入れていたが、それを本人に伝えていなかったという経緯で、後に謝罪があったとのこと。
◇ SNSから始まる情報拡散
- 佐藤さんのように、SNSでの情報発信を強力な武器とする政治家や候補者が増加。
- メディアによる報道が間に合わない・限られた形しか報じない場合でも、SNS上ではリアルタイムに情報が拡散される。
4. 今後の展望とまとめ
- 来年の都議選や山陰選を前に、SNSによる選挙活動はさらに注目を集める見込み。
- 「収益停止」や「発信規制」によって問題が解決されるのか、そもそも“言論の自由”との兼ね合いはどうなるのか、大きな争点となりそう。
- 既存メディアと新興メディア(SNS)の公平性確保、国民の知る権利や表現の自由の保護、そして偽情報対策のバランスをどう取るのか――。今後の議論の行方が注目される。